
こんなふうに手をひろげて差し出されるように溢れでる種たちが
今僕の畑にはいくつかある。
ネギが、種を実らせ、落としている。
風がふくと、揺れて、ぽろぽろと落ちて、
強く揺れると、飛んで落ちる。
そうやってまた落ちた場所で根付いていくかもしれないネギの子供たち。
今までしっかり生え抜いた生き様を、
こうやって種にして次の世代へ送る
ネギに限らずそういう種は大抵、黒に近いような、ぎゅっと詰まったものを表す色彩を宿している。
ここにこれからの可能性がぎゅっと詰まっている。

ゲーテは「自然の絶頂は愛だ」と残した。
作物たち1つ1つが、その絶頂で、種という愛を仕込む。
溢れんばかりに今こぼれだし、地面に落ちていくそのふるまいに、
それを助ける風や鳥たちがいるように、この種の愛のことを、人間以上によく知っているのだろうなと思った。
種はその植物1つ1つの愛の結晶だ。いつかそれをつなぐことを手伝える人間になりたい。