フィールドワーク 徒然日記

冬の野良仕事

大寒、今朝は朝から冷え切っていた。いつも起きてきてミャーミャー言う猫太郎も起きてこない。

毎朝私は家のドアを開けて、太陽をのぞく。根はそんなに明るくはないが、朝の私だけは、光を浴びたり太陽をまっすぐ見ることが好きみたいだ。短時間なら。日によっては、そのまま光に溶けてなくなってしまいたいと思うこともある。しょっちゅうある。

今朝は吐く息がいつも以上に白かった。タバコを吸っているみたいで面白いからスーハーやっているうちに、玄関から相当に冷気が入り込んでいる。庭先のプランター育ちのベビーリーフたちが、寒さのあまり成長することをやめたように思う。背丈が変わってへんやないの。でも、こういうときは縮こまって、暖かくなるのを待つしかないよ。

厳しい寒さがようやくやってきた、そんな感じがした。今年の冬の昼夜の気温差、とくに体感温度は驚くほどの異常を感じる。日差しがあるところは、上着がいらないほど暖かい。この気温差を、ほんとうによく人間たちをはじめ、動物や植物たちはやってきているよなと思う。私には無理だな。

よく親とかに「毎日畑行ってんの、寒いのに」みたいなことを言われるけれど、そんなにずっと畑にいたら生活していかれへん。冬は正直、そんなに畑に行ってもやることがない。特にこれだけ寒くなると、作物たちはみんな成長をとめるし、速度も遅くなる。冬にやることがない、と言ったのは、私だからであって、真面目に畑をしている人たちはやることだらけだと思います。

でも今日は畑に行った。米糠をたくさんもっていって、荷物置きに入れておく。米糠は使いたいときにそばにあるといいから。夏場は虫がわくから置いておくのが難しいなと思っているが、冬は少し置いておける。写真は玉ねぎ。

玉ねぎは今こんな感じ。2枚目の写真の土との接点のところがどんどん膨らんでいくと玉ねぎになる。少し膨らんできている。

これは誰が植えたんだろう、と思っているカブ。私が植えたんでしょうか。植えた覚えがないのに、生えてきてくれたカブ。立派に成長しているので、丸ごと食べて供養しようと思っている。私が植えたんではないけれど。

スーパーで高騰しているキャベツ。今欲しいと思うときなのに、私が植えたのはなんと春キャベツ。何度見に行ってもまだこんな感じで、のんびりしている。今ほしいねんけれど、と声はかけてみるものの、それがプレッシャーになってはいけないと思い直す。だって春キャベツなんやから。

白菜はこんな感じ。おっきくなった。

今はもっぱら、レタスの茎や、白菜の外葉やら、他ででてくる作物残渣を、細かく切って土に還す作業が主になっている。土壌生物や土壌動物たちの分解力に頼るわけだけれど、あまりに大きいまま土に還すと分解に時間がかかって、夏畝の養分になるに間に合わない。

自然がやろうとしていること、土がやろうとしてくれていることを、いつのときも人間は少し手を貸すことをしてきたという。スムーズにその自然の流れが起こるように、人間が残渣を細かくくだいて広げ、太陽光による乾燥を期待してから、土にすき込んでいく。太陽光で乾燥させるのは、作物残渣の水分が土の中で腐ると大量に虫がわくことを避けるため。

左はのびにのびているけれど、実はサニーレタス。徒長したこの全部分を細かくくだいて土に還していく。細かくして土上においているのが、右。もっと細かくしたほうがええけれど、私は力尽きた。

畑のそばには川が流れていて、そこではカワセミがいたり、道路脇をシジュウカラもよく飛んでいる。

物欲がもうそんなになくなってきたのだが、本格的に”鳥”を撮影する望遠カメラが、ほしいな。

はじめて育てている芽キャベツ。育て方が全然わからんままやけれど、ゆっくり観察しようと思う。観察している間に、周りにいるベテランのおじさんやおばさんが、いろいろと教えてくれることがある。知らないことは、調べないことも必要な気がする。ゼロからその身で経験することもできるだろうから。

昨年末に、学生たちと最後にみんなで描いた木のことを、よく思い出す。どの木も1つ1つ、味のある物語を持っていた。同じ木は1つもなかったけれど、心打たれるものがそこここにあった。知った気にはいつまでもなれない、でもきっと根っこのところは、同じ1つの、坩堝のような土壌なのかもしれない。

私は作物を土に還す。畑から出たものを、畑にまた還す。作物の一生がそうやって成仏していくことを、やっぱり思う。怠け者の私だけれど、眠い目をこすってでも、土には感謝してやっていきたいと思っている。私たちが成長するに必要なものは、たいてい土からもらっているだろうから。私が畑をしているのではなく、きっと存在が、魂が、野良仕事をしているのだと最近思う。

-フィールドワーク, 徒然日記,

© 2025 色彩自然学ブログ「デモーニッシュ」 Powered by AFFINGER5